私の授業に意味はあるのか?と思ったとき

お久しぶりです。
最近、日本語を3人のレベルの違う生徒に教えていて、思うことです。

ーーーーーーーーー
【背景】
私は、italkiでインフォーマル・チュータリングを受け持つ、セミプロとしての授業を提供している。
授業内容は、インフォーマル・チュータリング(内容に決まりごとがない)形式である。
教科書を用いて順序だった授業を展開した経験はない。

一般的に、プロはコース別(ビジネス、ライティング、発音矯正、試験対策など)の授業を設定しているが、
セミプロが提供できるコースはインフォーマル・チュータリング一択である。
公式では中級者以上のフリートークという使われ方が想定されていると思われる。
ただし、生徒のほうはプロとセミプロの違いをそこまで意識しておらず、値段だけで選ぶので、セミプロにもプロと同じように教えてもらえると考えている可能性が高い。 

【超上級 Hさん】
なんだかよく分からないけど独学で始めて、長らく日本語を勉強している。
私から教えることなんてないんじゃないのか?と初回の授業でつい言ってしまったくらい日本語がうまい。
「齟齬」「咆哮」「蝙蝠」とか読める。微妙なニュアンスの違いが分かる。
普通にネットで日本語の小説などを買って読む。

授業内容:
とりあえず話すだけ。目的として、日本語を話す機会が欲しいと言っていたので、単純に話すだけでも良いそう。
それだけだと申し訳ないので、とにかく少しの違和感も見逃さないように必死に話を聞き、不自然な日本語が出てきたらキリの良いところで話を止めて指摘している。指摘したらすぐHさんは自分でも納得する。
日本語関連でおもしろいトピックがあったら共有するようにしている。
様々なテーマに対応できるようになりたいということなので、トピックを「http://iteslj.org/questions/」こちらのサイトで決めて話すことにした。
※英語教師用のフリートークネタ質問集。種類が本当に豊富。

授業についての評価:
細かいことを指摘すると、「そういうことを指摘してくれると嬉しい」と言ってくれる。
上級者で意思疎通ができるレベルになったとき、友達であれば無視してしまう点を指摘できる存在として価値を出せるようにする。

【初級~中級者 Fさん】
高校生で独学で日本語を勉強している。言葉はたどたどしいが話が途切れないように努力しており、学習が早そうな印象。分からないことは英語ですぐに聞いて、解決したら新しく学んだ単語や文法を使おうとする点は見習いたい。

授業内容:
フリートークだが、私のほうで勝手に何点か質問を用意して臨んでいる。上級者よりも1つの話題からの広がりは制限されがち。
話すときには、①ゆっくり、②短く、③言葉をできるだけ省略しないという点に気をつける。
わからない、と言われたときは
①ゆっくり繰り返す
②日本語で書く
③単語などの知っている言葉を確認する(たいていこのあたりで意味を理解してくれる)
④必要があれば英語で説明する
注意していることは、単語や文法を少し英語で説明する以外は、全部を翻訳して伝えようとしないこと。
ヒントをあげれば大抵自分で解決する。

授業についての評価:
新しい言葉を学びました、と言ってくれる。教科書にないことも話すと喜んでくれる(言葉のニュアンスなど)。

【初級 Nさん】
いつか日本に来たいといって独学で勉強している。かなり熱心に週に2,3回ほど他の教師ともレッスンを受けているようだがあまり進捗を感じないため試行錯誤中。

授業内容:
これまでかなり迷走していたが、今後は、プロ教師と一緒に行った授業の復習をしていくことになった。
復習用に、授業で使った単語の羅列、文法項目の簡単な練習、発展会話の準備をしていたが、文法項目の練習に必要な単語をほとんど覚えておらず、その復習だけで終わる。

授業についての評価:楽しいし、助けになっているといってくれる。個人的に全く助けになっている気がないため改善したい。
ーーーーーーーーー


最後のNさんについて、これまでは、会話文を読んだり、テーマに沿って質問をしたりしてきましたが、やったことが身についている感じが一切しませんでした。それは私がNさんのレベルをよく理解していなかったことと、日本語を学ぶ具体的な目標が分からず、何を指標に進んでいいかも分からなかったからでした。また、日本語について何をどうしたいかの希望が具体的でない点に不満を感じていました。

私は思わず、「私は貴方の期待には答えられないので、私と一緒に日本語を学ぶのは時間の無駄だと思う。一度今後の授業についてきちんと話し合いたい」と連絡をしました。お互いに時間を取ってももったいないと感じていました。

その中で、生徒が日本語を学ぶ目的について、改めて具体的に尋ねました。結論から言うと具体的な目標はなかったのですが、全体的にまんべんない基礎的な日本語を身につける段階であることをお互いに確認しました。

また、道しるべとして、プロの授業を使うことにしました。その復習をして、きちんと身に着けるべきことを身につけ、繰り返して練習する場を設けたいという結論にいたりました。

今回反省したこと

①フリートークレッスンとは言っても、生徒に任せないこと!

受身な生徒にはこちらが主導権を握って導かなくてはならない。優秀な生徒は勝手に課題を発見して勝手に勉強していくが、モチベーションが高くても自分の学習を誘導できるとは限らない。

②生徒の言葉を鵜呑みにしないこと
フリートーク、しゃべる練習をしたいといわれても、全然そのレベルじゃない場合がある。
お互いにレベルについてきちんと話し合い、授業内容について計画を立てる必要がある。

書いてみればお金をもらって教える立場としては当たり前のことです。
反省して今後に活かします。
だらだら授業をしないで、貴重な時間をもらっているという自覚を持って臨みたいものです。