ドイツ語検定準1級に面接を受けてきました。


前回、ドイツ語検定の筆記を受けたことをご報告しました。
結果は予想したとおり、準1級は7割程度を取得し合格していて、1級は50点台で落ちていました。
1級はだめだろうな~とは思っていましたが、落ちると普通にショックです。
来年がんばるかどうかは考え中です。
どうも自分のドイツ語学習の方向性を決めきれないといいますか、ゴールがない状態でふらふらしているので、1年待ったからといって1級に受かる気がしません。

そもそも、だらだら区切りなく勉強しているのが良くないと思って検定試験を受ける気になったのですが、結局検定試験があっても、自分の勉強方法に大きな影響がなかったのでした。
ある程度緊張感を得られたのと、「検定があるから勉強しなきゃ」と尻叩きになったこと、そして自分のドイツ語の弱点を自覚することができたこと、の3点に関してはよかったと思います。

さて、本日は準1級の面接を受けてまいりましたので、簡単に報告します。

【概要】
・試験時間:8分程度
・内容:簡単な自己紹介、3枚の写真から1枚を選び、それについて質疑応答
・試験管:日本人1名、ドイツ人1名

【対策について】
まず、試験内容を知るため、過去問題集を拝見しました。
またネットで情報を公開している方のブログを見ました。

そこから得た情報と、実際の試験に差はなく、「8分程度で、簡単な自己紹介と写真にかんする質疑応答、そして試験管は日独1人ずつで、質問は基本的にドイツ人の試験官が行う」というものでした。
また、自己紹介は試験官に興味を持ってもらえるようなものを考えておいたほうがよいとのことでした。

特別な対策はしておりませんが、自己紹介のために単語などを確認しておきました。
また、ブログの情報から、下記は聞かれるものと思い、あらかじめ口に出して練習しておきました。
その際丸暗記はせず、何度かパターンを考えながら実際に話すのみにとどめました。

・自分の職業の説明
・なぜドイツ語を学んだか、いつからドイツ語を学んでいるか

また、普段どおりDeutsche WelleやLogoなど、ニュースを聞いていました。

【実際の試験について】
ほかのブログで、実際の流れを話してくれた方が参考になったので、私も会話を書きます。

①会場到着~実際の試験の部屋まで
家にいても集中できなかったので、早めに会場の最寄り駅の目白に行き、会場を確認後昼ごはんを食べました。
会場は大学でしたので、余った時間は早くキャンパスへと赴き、ぼんやりしながら回答を練習したり、そのあたりにあるものをドイツ語でなんと言うか考えてみて、分からなかったら調べるなどしていました。

ほかの受験者の方も来るのがかなり早く、特にみなさんすることもなく、問題集のようなものを広げたり、携帯を見ながら受付開始を待っていました。
心配で早くくる気持ちは分かりますが、特にやることもないので受付時間に到着すれば十分だと思います。
しかも、早く受付した人が早く面接を受けられるわけではなく、あらかじめ順番が決められています。
待っている間は携帯を触ってはいけないので(電子機器に触れると不正行為とみなされます)、かなり暇です。ぼんやり妄想の中で面接するくらいしかやることはありません。
本などは自由に見てよいようでした。

時間になると案内係の人が部屋につれていってくれます。
午後の準1級の試験は、私の受けた会場では60人弱くらいではないかと思います。

②試験について
部屋の外で待っていると、日本人の試験官の方が、日本語で入るように促してくれます。やさしそうな中年男性で、試験中ずっと微笑んでいました。
ドイツ人の試験官の方は女性でした。なかなか話すスピードが速く、あまりはっきりと分かりやすく話してくれる方ではなかったのでところどころ正確に聞き取れずにもしかしたらちんぷんかんぷんなことを答えたかもしれません。
うろ覚えですが、会話もあわせてご紹介します。すべて完璧には覚えていないですが、だいたい下記のような流れだったと思います。


ーーーーーーーーーー日本語ーーーーーーーーーー
日本人の試験官「どうぞ」
私「はい」
日本人の試験官「荷物はこちらへ。お座りください」
座ろうとするとドイツ人の先生と目が会う。

ーーーーーーーーーーここからドイツ語ーーーーーー
ドイツ人の試験官「こんにちは。どうぞ座ってください」
私「こんにちは。ありがとうございます(もうほぼ座ってる)」
試験官「(’’%$BQ#B#B&」
私(何を言われたかよく分からなかった)「はい?」
試験官「温かいので、コートを脱いでも大丈夫ですよ」
私「あ、(ausziehenって言ったのか)ありがとうございます。でも寒いので着たままでいます」
試験官(笑う)「どうぞお好きなようにしてください。さて、出身地とか、仕事ですとか、簡単に自己紹介してください」
私「あ、はい。私は○○県出身です。[観光名所]の近くです。今は東京に住んでいて、東京で働いています」
試験官「(”%!&”’%stelle(%$’$’”」
私(何を言っているか良く分からなかったがStelleと言ったので仕事のことと推測する)「私はWebデザイナーです。でも転職しようと思っています」
試験官「仕事が気に入らないのですか?」
私「いえ、仕事は楽しいですが、結婚したので早く帰って家事をする時間がほしいので」
試験官(びっくりする)
私「今の仕事だと帰りが10時などかなり遅いです」
試験官「そうですか。ドイツ語は高校から勉強していますか?それとも大学から?」
私「高校からです」
試験官「高校でもうはじめたのですか」
私「高校で英語圏に留学中にドイツ語の授業がありました。日本ではドイツ語の授業は受けられませんでした。だいたい15歳くらいからはじめたので、いま○年目です。大学ではドイツ語を専攻しました」
試験官「ドイツ語を専攻して、今はWebデザイナーなんですか?随分違いますね」
私「そうですね。Webデザイナーになったのは偶然で、最初は英日翻訳の仕事をしていましたが上司が人が足りないからWebの部署に移動しろというのでそうなりました。計画してたわけではないです。ちょっと書くことができたので(何を書けるか言うのを忘れる)」
試験官「プログラミングができるということですね」
私「あ、はい。そうです」
試験官「分かりました。さて、そこに3枚の紙があります。1枚選んでそれについて話してください」
私「(紙は裏返っている)中は見ていいんですか?」
試験官「いいえ」
私「わかりました。では真ん中にします。(美術館の中にいる女性のグループ、壁には2枚の絵が展示されている写真)えーと、これは美術館の中です。壁には絵がかかっていて・・・右のひまわりはゴッホですね。もう1つの絵は分かりません」
試験官「両方ともゴッホですよ」
私「あ、そうなんですか。そういえば今たしか日本でもゴッホの絵が見れますね(ゴッホゴーギャン展がやっていたことを思い出す。今も展示中なのか知らないがとりあえず言う)。えーと、あと・・・この写真について特徴的なのは、女性しか写っていないですね。女性のグループで、たぶんこの白いシャツと黒いズボンの人は先生ではないでしょうか。ほかの人は学生さんで」
試験官「それか生徒ですね。ドイツ人の女子学生は背が高いから」
(日本人の試験官が笑う)
試験官「)%&!&$!#$」
私「なんといいましたか?」
試験官「案内のツアー中なのかもしれないですね」
私「ああ、そうですね」
試験官「美術館にはよく行くんですか?」
私「はい」
試験官「日本に観光に来た人に勧めるならどこにしますか?」
私「えーと、難しいですね。何に興味があるかによりますが・・・とりあえず上野にはたくさんありますね」
試験官「()#$’&”$’(現代美術とクラシックの芸術は全然違うというようなことを話していた気がするがよく分からなかった。質問ではない)」
私「あと、この近くにあるのは永青文庫ですね。小さい美術館ですがおもしろい催し物をやっているときがあります」
試験官「えいせいぶんこ?(メモをとる)」
私「はい。確か去年の夏に春画展をやります(Es gabというところをEs gibtといってしまう。よく考えると春画展は夏ではなかったかもしれませんが適当)。見に行きましたがおもしろかったです。春画展というのは、えーと・・・大人用の絵画ですね」
試験官「春画は知ってますよ。官能的な作品のことですね。(日本人の試験官に)まだ時間あります?」
日本人の試験官「えーと、(スマホを見る)ないです。」
試験官「あ、そうですか。それでは、えー、ありがとうございました。Frau ○○」
私「あ、名前は××(新姓)です」
試験官「××?(名前について質問される)」
私「はい。珍しい名前です。でも気に入ってます」
試験官「○○より××のほうが好きですか」
私「はい」
試験官「では転職と結婚生活がんばってください。ありがとうございました」
私「はい。ありがとうございました。さようなら」


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以上です。
思い返してみるとネタを詰め込みすぎた感じがしますが・・・。
いくつかのブログの体験談を見て、ドイツ語検定の面接は雑談のような会話なので、試験官に興味を持ってもらえるように自己紹介を準備したほうがよいと書いてありました。
ちょうど私生活でネタになりそうなことがいくつかあるときだったので(ほかにも2、3こ用意してました)、チャンスがあればそれを差し込みました。驚いたり笑ったりしてくれたのでよかったです。

また、今回は選んだ議題も自分の興味がある美術のことでしたので、特に緊張せずに話すことができました。
私の体験が皆様の参考になるかは分かりませんが、ようするに内容は何でも良いのだと思います。
本当に普通に会話するだけでしたので。

【今後受ける方が準備するなら】
<自己紹介>
・自己紹介で、相手がつっこみやすいネタを考えておく。それに関連する単語や言い回しを調べておく
※試験官が質問をしてくれるので、自己紹介3分スピーチを用意してあらかじめ暗記するなどの準備は、あまり意味がないと思います。

<絵についての説明>
・知らない単語があっても、言い換えられるように色々な写真を描写する練習をする
・Auf dem Bild sehe ich...、Es gibt ...、Ich finde dass...など、写真の中にあるものの描写や、自分の意見を述べる言い回しを調べておく

以上です。
結果が出たらまた報告します。

ドイツ語は今後もゆっくり続けながら、また別の言語にも挑戦していこうと思います。





 

最近続ける技術で続けていること

以前、続ける技術の話をしました。
続けるために、「やる気を出す」など気持ちに頼らないで、自分の行動をコントロールするという話です。

最近は、夜お風呂を洗ってお湯がたまるまでの間や、通勤時間に「Mondly」を使ってペルシア語を勉強しています。寝る前に1セッションやると決めて、わりと続いています。
MondlyはスマホやWebで使えるアプリケーションで、Duolingoのようにテーマに沿ってユニットごと、単語や言い回しを覚えていくことができます。

ペルシア語は大学のときに1年だけ勉強して、まったく覚えられなかったのですが、田中先生の「アルスラーン戦記」を読んでいたら「王書」を読みたくなって、王書を読んでいたらペルシア語をやりたくなって、なんとなく再開しました。アラビア文字の不思議な感じとても良いです。アラビア語は難しいと聞いているので、いつか挑戦できれば。。。という感じです。

Mondlyのインターフェースは少し未来的で、そんなエフェクトいるか?と思うような無駄な動きも少しありますが、使っていてわくわくする楽しいアプリです。
無料版は1言語までで広告がかなりうっとうしいですが、よかったらお試しください。
私はキャンペーン中(たぶんずっとキャンペーン中です)で、1年4500円で有償版にしました。
このくらいの出費なら、どんどんアプリをよくしてもらいたいしサービスを続けてほしいので、語学学習系には喜んで払います!
 
もう少し使ったら、詳しくレビューできればと思います。 

ドイツ語検定準1級、1級筆記試験を受けました

大学からずっと勉強していたドイツ語ですが、なんだかゴールもないままダラダラしている状態でしたので、思い切ってドイツ語検定を受けました。
まだ筆記だけです。

合否が出ておりませんが、正回答が発表されたのでザックリ自己採点をしました。
圧倒的に基礎体力不足でした!

恥ずかしいぐらい、前半の問題をはずしまくっています。
自分の回答を一部メモしてなかったのと、点数配分が分からないので合否の判断は難しいですが、準1は受かってる可能性有、1級は間違いなく落ちていると思われます。

語学の基礎体力不足というのは、「単語」「熟語」「文法」という意味で使いました。
設問の前半は、文章の言い換えや、当てはまる単語、語尾変化など、「きちんと」勉強していれば解ける部分ですが、ここが圧倒的にだめでした。

私のドイツ語は、大学でコミュニケーション重視で勉強してきたものなので、受験勉強のような単語のテストなどがまったくありませんでした。大学なんだから、自分で勉強すればよかったんです。当たり前のことです。
ただ学生のときはそこにいたりませんでしたし、ニュースなどは文脈があるとある程度理解できますので、わざわざ自分で単語をがんばろう!などと思い至りませんでした。
文脈に理解を頼りすぎており、正確な単語の意味などをきちんと勉強 していませんでした。
反省点です。

一応、「会話と作文に役立つドイツ語定型表現365」なる本を買ってぱらぱら見ていましたが、一生懸命暗記するところまでやりませんでした。準備不足です。

今回受けてみて、自分の弱点と勉強方法について考えました。

単語力不足:圧倒的にインプットが足りなすぎると感じる。ネットの記事など興味のある分野について読む。
上記定型表現を何度も読む。
日本語訳も覚えていたほうがよいと思いました。英語では、1つの単語に1つの日本語を覚えても意味がない。英語の文脈の中で使い方を覚えるべき、などという学習方法がもてはやされていますが、それはある程度のレベルに到達した後です。1つの単語に対して1つの意味も分からないのではスタート地点にも立っていないと感じました。また最初から概念をターゲット言語で理解するのは難しいので、せっかく大人として概念を知っているのだから、微妙な差異は後から調整すればいいのではないかと思いました。
言語の学習はとにかく暗記がスタートだと感じます。

正確な文法、単語の使い方の理解不足:作文をする。Lang-8というサイトが個人的におすすめです。添削をしてもらえるので助かりますし、ドイツ語なら利用者が多いのか、添削を受けられず放置ということがありません。

中学や高校で英語を勉強したとき、1つの文法項目を何度も練習したり、単語や熟語を丸暗記したことは、決して無駄ではなかったと感じます。またかなり多読しましたので、それによって、覚えたことを実際の使われ方を見て自分のものにできたと思います。
独学で、または大人になってから大学などで、コミュニケーションをとれるように勉強するのは難しいことではありませんが、丁寧に、時間をかけて、正確に身に着けるのは、根気がいるし方法もきちんと考えていかなければいけないなと思いました。

逆に、得意な点は以下の2点です。
長文読解:ほとんど単語など分からない状態でよくできたなーというくらい長文は合ってました。だいたい新聞やネットの記事を改変したものですから、ちょっと分からない言葉や言い回しがあっても、大人ならなんとなく内容を推測することは可能です。分からないところでとまらないで最後まで読んでみればぼんやり意味が分かります。その状態でもう一度最初から読み直すと、意味を推測できるところが増えます。
ただし単語が分からないと、選択肢が理解できないことがあります。

リスニング:リスニングは、話者のイントネーションや雰囲気で意味が推測できるのと、内容が読解より平易になります。そもそも人は話すときにはたいした数の単語を使っていないというのはよく話題になるので、単語力のない私にとっては救いの手のようでした。
ただし、数字が入るととたんにガタガタになりますので、やはりニュースなどで大きな単位の数字にも慣れておく必要があると感じました。

12月末までに試験結果が出ますので、またご報告いたします。 受かっていたら、次は面接です。 

続ける技術

お久しぶりです。

「まんがで身につく 続ける技術(著:石田淳、あさ出版)」という本を読みました。
自分で買ったわけではなくて、家に置いてあったものです。通勤中の暇つぶしに読みました。
20分もあれば読めます。

言語の学習、ダイエットなどの最大の敵「三日坊主」と戦うための本です。
参考になるなと思う点は、
この本の内容は人間の「行動」をコントロールすることに主眼を置いており、
「努力」「意思の力」など、精神論ではないところです。

続けたい行動があるなら
「その行動は、どんなときに起こりやすい(起こしやすい)か?」
「何が邪魔になるか?」
などを分析して、自分の行動に変化を起こします。

自分の「意志の力」に頼ろうとすると、
「よし、明日から毎日ドイツ語を勉強するぞ!」→「今日は仕事で疲れたからやめた」
というように、三日坊主になりがちです。

行動という点に焦点をあてると、もう少し具体的に動けるようになります。
気持ちを変えるのではなくて、行動しやすい環境を整えていくというような感じです。
「大学時代の友達に会うと勉強する気が起きる」→「大学のセミナーに参加する」
「仕事で疲れていると勉強する気にならない」→「仕事を早く終わらせて帰る」
「時間があるときはSNSを見てしまう」→「スマホにドイツ語のCDやNewsを入れて同時に聞けるようにする」

あとは、行動を決めて実行できたらご褒美を与える、できなかったら罰を与えるなど、
そのほかにも色々分かりやすいTipsが紹介されているので、おすすめです。

行動主義者のパターンによる言語学習には批判もありますが、行動というのは外に見えているものなので、自分でも分析しやすく、コントロールしやすいと思います。
ひとまず、さぼりまくっているドイツ語をがんばりたいと思います。。。


ドイツ語検定受けようと思います

来る12月、冬のドイツ語検定に挑戦しようと思います。
レベルがよく分からないので、準1と1級の併願・・・2万円か・・・。

個人的にドイツ語に圧倒的に足りないと思うのは、
単語力です。
とにかく単語のレベルが低すぎる。

大学の授業が話す、聞く中心になった弊害で、基礎力がすごく低いんですよね。
英語と間逆です。
英語は文法を徹底的に勉強したから自信があるし、単語も最初はきちんと暗記していたので、基礎力あると思うんですよね。だから自分でどんどん応用に進めたんだと思います。

でもドイツ語は、いきなり「とにかく話してみよう!」みたいな感じで、
丁寧に文法や単語を拾うことなく来てしまったから、ガタガタです。
まずはその辺りを埋めたいので、
とりあえずduolingoやって、あいまいにしてるところをさらおうかと思います。

あとはニュース見たり、雑誌読んだりして、分からないところを調べるくらいでしょうか。
italkiでは引き続き話す練習をしていきます!
またご報告できればと思います。

(韓国語とスペイン語は停止中・・・韓国語はのろのろやってます) 

私の授業に意味はあるのか?と思ったとき

お久しぶりです。
最近、日本語を3人のレベルの違う生徒に教えていて、思うことです。

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【背景】
私は、italkiでインフォーマル・チュータリングを受け持つ、セミプロとしての授業を提供している。
授業内容は、インフォーマル・チュータリング(内容に決まりごとがない)形式である。
教科書を用いて順序だった授業を展開した経験はない。

一般的に、プロはコース別(ビジネス、ライティング、発音矯正、試験対策など)の授業を設定しているが、
セミプロが提供できるコースはインフォーマル・チュータリング一択である。
公式では中級者以上のフリートークという使われ方が想定されていると思われる。
ただし、生徒のほうはプロとセミプロの違いをそこまで意識しておらず、値段だけで選ぶので、セミプロにもプロと同じように教えてもらえると考えている可能性が高い。 

【超上級 Hさん】
なんだかよく分からないけど独学で始めて、長らく日本語を勉強している。
私から教えることなんてないんじゃないのか?と初回の授業でつい言ってしまったくらい日本語がうまい。
「齟齬」「咆哮」「蝙蝠」とか読める。微妙なニュアンスの違いが分かる。
普通にネットで日本語の小説などを買って読む。

授業内容:
とりあえず話すだけ。目的として、日本語を話す機会が欲しいと言っていたので、単純に話すだけでも良いそう。
それだけだと申し訳ないので、とにかく少しの違和感も見逃さないように必死に話を聞き、不自然な日本語が出てきたらキリの良いところで話を止めて指摘している。指摘したらすぐHさんは自分でも納得する。
日本語関連でおもしろいトピックがあったら共有するようにしている。
様々なテーマに対応できるようになりたいということなので、トピックを「http://iteslj.org/questions/」こちらのサイトで決めて話すことにした。
※英語教師用のフリートークネタ質問集。種類が本当に豊富。

授業についての評価:
細かいことを指摘すると、「そういうことを指摘してくれると嬉しい」と言ってくれる。
上級者で意思疎通ができるレベルになったとき、友達であれば無視してしまう点を指摘できる存在として価値を出せるようにする。

【初級~中級者 Fさん】
高校生で独学で日本語を勉強している。言葉はたどたどしいが話が途切れないように努力しており、学習が早そうな印象。分からないことは英語ですぐに聞いて、解決したら新しく学んだ単語や文法を使おうとする点は見習いたい。

授業内容:
フリートークだが、私のほうで勝手に何点か質問を用意して臨んでいる。上級者よりも1つの話題からの広がりは制限されがち。
話すときには、①ゆっくり、②短く、③言葉をできるだけ省略しないという点に気をつける。
わからない、と言われたときは
①ゆっくり繰り返す
②日本語で書く
③単語などの知っている言葉を確認する(たいていこのあたりで意味を理解してくれる)
④必要があれば英語で説明する
注意していることは、単語や文法を少し英語で説明する以外は、全部を翻訳して伝えようとしないこと。
ヒントをあげれば大抵自分で解決する。

授業についての評価:
新しい言葉を学びました、と言ってくれる。教科書にないことも話すと喜んでくれる(言葉のニュアンスなど)。

【初級 Nさん】
いつか日本に来たいといって独学で勉強している。かなり熱心に週に2,3回ほど他の教師ともレッスンを受けているようだがあまり進捗を感じないため試行錯誤中。

授業内容:
これまでかなり迷走していたが、今後は、プロ教師と一緒に行った授業の復習をしていくことになった。
復習用に、授業で使った単語の羅列、文法項目の簡単な練習、発展会話の準備をしていたが、文法項目の練習に必要な単語をほとんど覚えておらず、その復習だけで終わる。

授業についての評価:楽しいし、助けになっているといってくれる。個人的に全く助けになっている気がないため改善したい。
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最後のNさんについて、これまでは、会話文を読んだり、テーマに沿って質問をしたりしてきましたが、やったことが身についている感じが一切しませんでした。それは私がNさんのレベルをよく理解していなかったことと、日本語を学ぶ具体的な目標が分からず、何を指標に進んでいいかも分からなかったからでした。また、日本語について何をどうしたいかの希望が具体的でない点に不満を感じていました。

私は思わず、「私は貴方の期待には答えられないので、私と一緒に日本語を学ぶのは時間の無駄だと思う。一度今後の授業についてきちんと話し合いたい」と連絡をしました。お互いに時間を取ってももったいないと感じていました。

その中で、生徒が日本語を学ぶ目的について、改めて具体的に尋ねました。結論から言うと具体的な目標はなかったのですが、全体的にまんべんない基礎的な日本語を身につける段階であることをお互いに確認しました。

また、道しるべとして、プロの授業を使うことにしました。その復習をして、きちんと身に着けるべきことを身につけ、繰り返して練習する場を設けたいという結論にいたりました。

今回反省したこと

①フリートークレッスンとは言っても、生徒に任せないこと!

受身な生徒にはこちらが主導権を握って導かなくてはならない。優秀な生徒は勝手に課題を発見して勝手に勉強していくが、モチベーションが高くても自分の学習を誘導できるとは限らない。

②生徒の言葉を鵜呑みにしないこと
フリートーク、しゃべる練習をしたいといわれても、全然そのレベルじゃない場合がある。
お互いにレベルについてきちんと話し合い、授業内容について計画を立てる必要がある。

書いてみればお金をもらって教える立場としては当たり前のことです。
反省して今後に活かします。
だらだら授業をしないで、貴重な時間をもらっているという自覚を持って臨みたいものです。

 

流暢さと感じのよさ

かなりお久しぶりです。
この一週間は毎日日本語のレッスンがあって、そこで思ったこと。

当たり前ですが、
ある程度言いたいことが言えるレベルになってくると、その人の人と成りが話しやすさにすごく影響するなあ、と思いました。
日本人でも話しやすい人と話しにくい人、話し方によって印象が変わります。

中級者以上になって、フリーで会話できるようになってくると、日本語の理解できるレベルなどが同じくらいの人でも、
・いつも笑顔
・しっかり話しを聞く
・ゆっくりと順序立てて話す
・さまざまな話題について話せる
などという特徴があると、落ち着いていて教養のある大人の人だなと思います。
単純に私の人の好み?

逆に、
・とても早口
・語尾が荒くぶっきらぼうな印象
・声が高い
などという特徴があると、なんとなく子供っぽい印象です。

その人の母国語で話しているわけではないので、実際の性格などは分かりませんが、
できる限り自分の年齢に見合った話し方ができるといいと思います。

自分でも、英語などの外国語を話しているときは、
言いたいことがきちんと説明できなくてとても馬鹿になったような気持ちになります。
もちろん元々自分が頭が良いという意味ではなくて、日本語を話しているときと比較して、自分の中でどう感じるかという話です。
言葉が出てこないばかりに、知識や教養や性格に関しても誤解されてしまったり、大人として扱ってもらえなかったりするのが悲しいことです。
英語はずっと勉強してきているけれど、社会人として恥ずかしくない話し方をしているのかは分からないし、見本にしたいような話し方をしている人の英語をたくさん聞いて、真似をするしかないのかなと思います。

外国語をペラペラ話せることと、人として感じが良いことは違います。
ですが、少なくとも母国語で他人に抱いてもらえるプラスの印象は、外国語でも出せるようになりたいものです。

また、日本語学習者の人柄を、使う日本語やそのレベルで判断しないようにしたいです。
成人の学習者の場合は、無意識にでも子どもと話すように接していないかつねに自分を評価する必要があると感じます。
語彙や文法、スピードのコントロールは必要ですが、相手が馬鹿にされていると感じないように、感じの良い先生を目指したいと思います。